Tagoo 不毛なる徹底レビュー:ステップアップ

スタート画面

スタート画面

 これは、1983年にHAL研究所から発売されたゲームである。おそらくこのゲームは、当時の店頭で販売されたMSXにおまけで付いてくるようなものだったのだろう。そのため、それなりに多くの方々が遊んだ経験を持つかも知れない。私の場合は、友人が買ったソニーのMSXに付いてきたものを譲り受けて手に入れた。まさにMSX黎明期のゲームである。


ゲーム画面

はしごをひたすら登るのだ!

 ゲーム内容は、ゲームタイトルの「ステップアップ」から連想できるように、はしごをどんどんと登っていくというものである。プレイヤが操作するのは、酸素ボンベを背負った宇宙飛行士である。宇宙飛行士は、行く手を阻む宇宙生命体をかわし、地上10階建ての塔の屋上へ駆け登る。もちろん酸素ボンベは、時間を追う毎に減っていき、空っぽになると飛行士は死んでしまう。
 ステージクリア条件は、はるか上空から舞い降りてくるUFOに飛び乗ることである。いや、UFOとは「未確認」のもののことをいうのだから、宇宙船、と表すべきだろうか。でも形がモロUFOなので、この先もUFOと呼んでしまうことにしよう。そのUFOに乗ると、また新たな星?へと旅立って行くのだ。そして、また新たな星で塔を登りつづけるのである。

無敵モード

はしごと酸素ボンベと無敵

 宇宙飛行士は、ジャンプを駆使したり、うまく敵をやり過ごすことで道を切り開き、屋上を目指す。だが敵に囲まれて二進も三進も行かなくなくなる時がある。そんな時はおもむろにはしごの上でスペースキーを押せば無敵となる。宇宙服が紅白に光輝き、敵の執拗な追撃を受け付けなくなるだろう。だが、その間はみるみるうちに酸素の残料が減っていくので多用は禁物である。
 おそらくこの宇宙服は、酸素を使い何らかの方法で宇宙服自身を強化させる特殊な構造を持っていると推察できる。そんな技術力を持つ彼らであっても、塔は自分自身の足で登るのだ!

ステージクリア

UFOに飛び乗って脱出だ!

 無事屋上までたどり着くとUFOが迎えにやってくる。UFOというと、アヤシげな光線が降りてきて、地上のものを吸い上げる、というイメージがあるが、このUFOへは飛び乗らないといけないのだ。UFOの真下でタイミングを見計らってジャンプすれば、無事UFOに乗ることができる。しかし、ジグザグに飛びまわるコウモリ(のような生命体)がその行く手を阻む。
 なお、一度階を上がってしまうと下の階に戻ることはできない。そう、彼には後ろを振り返ることは許されないのだ。

宇宙飛行士死す

みごとに
ひん曲がった
その

 宇宙飛行士は、動きまわる宇宙生命体、つまり敵に触れると、足を踏み外して地上へとまっ逆さまに落ちてしまう。そして、「ブキッ」という鈍い音と共に彼の首はへし折れ、帰らぬ人となってしまう。そしてその屍は、誰の目に触れることもなく、永遠にその星の屑として取り残されてしまうのだ。


蜘蛛の巣

はしごをつたって
蜘蛛が降りてくる!

 さて、このゲームに登場する敵キャラクタは、どれも単純な動きしかしない。ここでそれぞれの敵のプロファイリングをしてみよう。
 最もよく目にする緑色の敵は、はしごを降りてくると左右どちらかに直進するのみで、次のはしごを見つけると降りて行く。どうやら、一つの階には一匹までしか生息できない、という彼らなりのルールがあるようだ。そのため下の階に仲間がいると、はしごを降りないのだ。このことに気を付けていれば、やり過ごすのは簡単であろう。
 高速で移動する黄色のネズミは、直線的な動きだ。ただ左右に往復するのみである。だからジャンプで軽くかわすことができるだろう。蜘蛛の巣や他の敵が同じ階にいる時のみ気にするだけでよい。
 蜘蛛は、一定時間毎に蜘蛛の巣から垂れ下がってくる。はしご上に生息しているためにうまくタイミングを見計らわないとあっという間に餌食となってしまうだろう。他の敵との兼ね合いでどうしても潜り抜けられそうもない時は、そう、無敵技を使って、その場を切り抜けるのが得策だ。
 最も厄介であろう敵は、上下に浮遊する紫色のコウモリだろう。浮上した時に下を潜ることもできないことはないが、タイミングはシビアである。この敵のいる階の一つ下の階で様子をうかがい、隙を見て一気にその上の階まで登るのが最も安全かつ賢い攻略だ。

罠

落し穴と
鉄筋と

 先のステージに進むと、落し穴や移動する鉄筋など、この手のアクションゲームに欠かせないトラップ群も出現する。落し穴は一キャラ分しかないので、注意深くジャンプすれば落ちてしまうことは滅多に無い。移動する鉄筋も特に問題はないだろう。
 このように敵の一匹一匹、トラップの一つ一つは取るに足らない存在なのだが、それらが重なりあった時に危険度は増すのである。


ゲームオーバー

地球人の
未来は
どっちだ

 改めてこのゲームの目的を振り返ってみると、はしごをつたって屋上に飛来するUFOに飛び乗ることである。ここまでに宇宙飛行士以外のキャラクタを「敵キャラクタ」と評したが、実は彼らは全く敵意を持っていないことがわかる。飛行士が同じ階に現れても彼らの行動にこれといった変化はない。むしろ全く意に介さない。部外者である宇宙飛行士は襲っても来ない敵を恐るるあまり、敵に触れただけで足を滑らせ落下するという失態を演じてしまう。このゲームでは宇宙飛行士には冷静沈着さが必要であるということを、今日の宇宙時代に先駆けて我々プレイヤーに暗に問いかけていたのではないだろうか。
 ここまで見てきたように、ゲーム設定がかなりいい加減である。しかし当時のゲームは、現在のように設定重視ではなかったし、誰もそんなことを気にも止めなかったのだ。確かに「作って見たらこんなんなりました」的な行き当たりばったりさがにじみ出ているが、要はゲームとして面白ければ良かったのである。だから、ゲーム設定重視の最近のゲームに慣れきった我々に、ある意味新鮮な感覚が襲うのである。それがこのゲームの面白さである。つまり、たまに遊ぶからいいのである。皆がこのゲームを毎日遊ぶようになったら、今までのゲームの進化はずべて無駄になってしまうのだから。


SOFTWAREDATA
ステップアップ
(TAKARA/HAL研究所)
1983年発売
¥4800・A6タイプパッケージ・16KBROM
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