Tagoo ヘリタンク

レビュー詳細 紹介ページ

親記事 ヘリタンク
タイトル
真・ヘリタンク(仮)
日付Tue Aug 21 08:08:53 2012  
書いた人コメント一覧ZL <planetary_titan_sushiya@hotmail.com>

ヘリタンク、という名前を聞くだけでまずは超硬派な内容を想像してしまうのが、「ヘリ
タンク」にとっての不幸なのだと思います。実際はそんなに言うほどヘボじゃないし、きっ
とプレイする人の心をわしづかみにする魅力が巧妙に隠されているはず。
・・といった風な、「昔のゲームを今の自分が楽しむ」というスタンスで相変わらず懲りず
にやろうと思います。

「ヘリタンク」は戦車のゲームです。戦車をふりまわし、画面上の敵戦車を撃破してゆき
ます。全滅させるとボーナスが加算され画面に表示が出ますが、基本は面ごとの敵を
全滅させてまわるゲームだと理解しています。
ステージ構成は全9面あり、それがタテ・ヨコに3つずつ並んでいます。それぞれのステ
ージには障害物としての壁、そして樹木があり、ステージの上下左右は隣接するステー
ジへと繋がっています。このゲームの独特な部分として、プレイヤーの砲撃は壁に当た
ると跳ね返るということ、そして樹木は砲撃で少しずつ除去することができ、そのうちの
約半数は砲弾が勢いで貫通してしまうということが挙げられます。
通り抜けたいので樹木を撃つ →樹木を撃ちぬいてその奥の壁に当たる →跳ね返った
砲弾にプレイヤーが被弾する・・という状況はままあります。素早い操作を要求される時、
または戦車がたいへん混み合っている(笑)とき、思いがけない一発の弾に泣かされるこ
とがあります。

MSXのソフトに限らず、戦車が好きな人が、戦車の魅力をあじわえるゲームというのは、
おそらく相当に数が少なく、多くの戦車ゲームに対して、常に何かしらの不満がついて
回っているように思います。
個人的な好みから言わせてもらえれば、やはり砲塔が車体から独立して回転することに
より「進行方向とは別の方向への砲撃ができる」のが基本であってほしいのに、そういっ
たものは少数派といえる状況でした(アタリ仕様の方向キー+2ボタンではまあ仕方の
ない話)。メジャーな存在である『タンクバタリアン』(バトルシティ)も、その点ではヘリタン
クとまったく同じです。
そして私が求める戦車らしさその2、「存在の重厚さ」・・・世の戦車ゲームは、コントロー
ルパッドが多数のボタンを獲得したのをこれ幸いと、少しずつ砲塔回頭路線へとシフトして
いくのですが、それと同時に機動性能・攻撃手段のハイパー化も実装されるようになりま
す。よけいなことを。
ハイパーな戦車など要らんのです、それは噴水ですか。戦車はボゥーン、と大砲を発射し
たら、しばらくは時間が掛かるものなんです。いや、実際には掛からないものかもしれませ
んが、そういうタメの存在が戦車の重厚さや、手に指に伝わるリアルさを生むんだと思う
のです。わかってくださいよ。
と、ここまで書いて『ヘリタンク』本題に戻ることに多少の不安を感じる方もいらっしゃるか
も知れませんが、ここからのヘリタンクの爆発力に御期待ください。

ステージには番号が振られ、1から9までの数字が左上に表示されます。敵戦車の配置
はランダムに毎回変化しますが、この面のつながりと、各面ごとの壁や樹木のレイアウトは
完全に固定されたものです。これまで漫然とプレイするのが基本だったために、無計画に
適当な方角からステージを抜けるのを繰り返し、敵のあからさまな初期配置に憤死したり、
「・・ヘリタンク」と意味ありげにつぶやいてみたり(指は電源に伸びている)と、ひた隠しに
されているのであろう面白味、すなわちゲームのコアにたどり着くことはなかったのですが、
今回はそれが少しだけ見えてきたような気がします。
ちゃんとクリアを目指してプレイすることで、印象がちょっと変わったからです。
この自機は鈍重です。そしてそれは案外といいものです。跳ねかえり弾で自滅するスリル
が常にあるのは、戦車の動きの鈍さにたいする、砲弾の速度がかなり速いからです。連射
はきかず、終始単発なのですが、どの戦車も例外なく一撃で破壊できる砲弾には重みが
あります。
となれば、肝心なのが戦車の位置取りです。画面が更新された直後には敵戦車の姿はな
く、プレイ開始直前になって判明するランダムな配置加減も悪くありません(たまに、どうし
ようもないケースも出てきますが)。
ゲームスタート当初は、じつは自機の方が動きは素早いです。しかし、ステージを重ねると
敵戦車の機動力がグンと増してきます。基本は撃たれる前に撃つ。そのために、地形を効
果的に利用して、「素早く」立ち回ることが重要になります。

なぜに「素早く」?それは、奴が・・ヘリが出てくるからです。
たとえばドルアーガの塔はドルアーガの塔であり、「ウィルオウィスプドルアーガの塔」では
ありません。『ヘリタンク』におけるヘリが、分不相応なまでにしゃしゃり出てきていることに
は間違いありません。
かなり情けない存在感のヘリが、時間ですよと登場します。プレイヤーの戦車をシンプルな
アルゴリズムで追い、その小ぶりな機体を直接ぶつけるために。
このゲームではタイム表示はないので、だいたいの印象の話になりますが、後のステージ
になると、ヘリは結構早めに登場してきます。敵戦車を全滅してまわるにせよ、このヘリに
は対抗策がないので、いったん別のステージに逃れるしか道はありません。
各ステージは、移動すると常に敵戦車が最初の状態に戻ります。
それでなにをもって全面クリアとするのか?といえば、各ステージを最低1回ずつ全滅させ
れば終わり、なのではないかと考えたわけです。そうしていざ全てまわろうとすると、これ
がなかなか大変です。
そうこうしていくと今度は、ステージの並び方が気になってきます。不規則な並びなのです。
はじめは1面。ここを上に抜ければ2面、3面とつづいていますが、この列の左側は4、6、
8面、右隣が5、7、9面という配列です。
もしかして、ステージ1から9まで、順にクリアーしていくのが正しいのか?
ただしこの配置では一筆書きの要領で移動していくわけにはいかないので、必要に応じて
戻ったり寄り道したりしながら、番号をたぐるようにプレイすることに。
そこで感じたのは確かにヘリタンクのゲームのコア・・・・だったように思います。
エンディングがなさそうだったのが、もったいないと思いました。終わっても良かったのに・・
終盤のプレイはそれくらい納得のいくものでした。
いや、ひょっとすると条件を満たしていなかったのかもしれない。
・・そして今、私はこのゲームの説明書をさがして部屋中をあちこち突っつきまわしています。
どこかに転がってるはずなんだけどな。

まあMSXで2番か3番目に感触のよい戦車アクションゲームなのでは、と思います。



おすすめ度: ★★+0.5
操作性: ★★★
クイック&デッド: ★★★★
戦車感: ★★★+0.5

引用する

このレビューに対するコメント
まだ登録されていません。



戻る
Copyright(c) 1998-2024 Mackchie All rights reserved.
mackchie@gmail.com