わざわざアステロイド・ベルトを通って地球へ向かい、着いたらまた繰り返し。「なんて
酔狂なゲームだ」と思いましたが、マニュアルのエピソードを読むと、このソフトに対する
淡白な印象も、少しまともになりました。地味なゲームですが、こういう味付けには気合
が感じられます。
ITI-103を先頭とする4隻の宇宙船団が、重要な物資を地球へ向けて輸送中、敵対する
エイリアンの妨害に遭い、アステロイド・ベルトへと追いやられます。 遠隔操縦なのか、
AI制御かは不明の追尾式機雷や、エイリアン船が自爆攻撃で次々に船団に襲い掛かり、
熱転換シールドはオーバーロードの危機にさらされます。
たとえ船が破壊されたとしても、後続のITI-102以下の3隻へと任務は引き継がれますが、
のちに大変な苦戦を強いられるのは目に見えています。
3D視点で、かつコックピット・ビューに近い構成のため、ダイナミックな操縦感のあるゲー
ムになっています。当たり判定はややアバウトで分かりにくいように思いますが、多少の
衝突には持ちこたえられ、時間を置いて回復するシールドがあるために、それほど神経を
とがらせる必要もないでしょう。そのかわり、敵は恐ろしくしつこく追いかけてきます。
ミサイル攻撃はよく考えて、要所にのみ行うようにする必要があります。40発はあまりに
も少ない。しかもロックオン状態で射出しないことには、まず役に立たない代物。 そうこう
するうちに、相手は自爆モードに入ることとなります。
ごくまれにアステロイドに紛れているアイス・クリスタルは、エネルギー源であり、シールド
の熱を引き下げる働きをします。センサーが感知してアラームが鳴ったら、できる限り回収
にまわりたいところ。そろそろ来るなと思ったら、多少のダメージ覚悟で機雷を放っておく、
というのもアリだと思います。
当船団が一列にズラーと並んでいるのだとしたら、先頭が必死にあれこれやってる間、
後続はなにをやっているのでしょうか。「コントロールが移った」とメッセージが出ますが、
もしかすると、こちらこそ無人の遠隔操作なの? 人知れぬ死闘というやつでしょうか。
忘れられがちなのが、F1とF5によるスロットルの制御で、加速すればそれだけ地球への
到着も早まります。ただし、なにかの爆発や衝突に対して非常にもろいので、常に管理が
必要。エイリアン船をひきつけて戦う際にも、基本的には中速以下で行うべきでしょう。
画面の中央、やや下にグリーンの小窓がありますが、あの中にある白いドットの位置が、
船の可動範囲における現在位置を示しています。 端へ行くと、メインスクリーンにライン
が表われ、明滅してこれ以上そちらへ行けない事を知らせます。カーソル操作も上下が
逆に設定されているなど、本格派の雰囲気があります。もう少し、敵やミッションのバリ
エーションがあったら良かったでしょうね。ファミコンの「スターラスター」に外伝があった
ら、きっとこんな1シーンもあるだろうなと思わせる雰囲気は、個人的に大好きです。
このゲームは、「プレイヤーのスキルに対応して自動的にレベルをコントロールする」と
うたっています。そしてゲームオーバー画面には「SHIPS LEFT」の項目があり、終着点
があることを匂わせます。 「きみ、ヘタやなあ」と思わせておいて、先への道を切り開く
戦略もカギになってくるのではないでしょうか。結局、それもつらいよなあ。
おすすめ度 : ★★★
サウンド : ★★★
3D性 : ★★
シューティングにしなかった選択 : ★★★★
船団を分割し、別働隊を組織すべし : (参照『ローグアライアンス』)
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