MSX初のキラータイトルともいえる作品。全く新しいタイプのゲームの出現に多くのユーザーが魅了され、当時のパソコン雑誌のランキングの上位を2年以上独占し続けた怪物ソフト。MSX版は多機種版に比べて後発だが、プログラム技術の向上により、よりリファインされさらに完成度が高くなった。ROM版では世界初とも呼ばれるパスワードセーブ方式を実装するなど、当時のT&Eソフトの技術力や研究姿勢が伺える。
ゲームシステムとしては、アクションRPGというジャンルの草分けになるにも関わらず、すでに驚異的ともいえる完成度を誇る。当時のライバル的タイトルともいえる、ドルアーガの塔やドラゴンスレイヤー(初代)に比べてもゲームバランスやシステム面では圧倒的に差をつけていた。
結局これを超える2Dゲームシステムは出現せず、それはほとんど同一のシステムを搭載したイース1、2が空前の大ヒットを記録し、システムを根本的につくり変えた3がユーザーに受け入られなかったことで、図らずも証明されてしまったのではないだろうか。
ストーリー的には、大まかな背景のみマニュアルに記述し、後はゲーム中にプレイヤーに想像を委ねることで楽しんでもらうという演出方法をとっており、これはシリーズで一貫している。
しかしその後の日本のRPGはビジュアル中心の、ストーリ重視の演出が売れ筋となり、名作ハイドライドシリーズもその流れを押し戻すことはできなかった。
だがしかし、勇者ジムの冒険を固唾をのんで見つめていた多くのユーザーにっとって、このゲームの業績と栄光は永遠に色あせることはないだろう。ありがとうハイドライド!
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