地球。エネルギー枯渇と食糧難にあえぐ人類が、野生の
食物連鎖に肉弾参戦したような世界。コンドリのタマゴ
をつけねらう人間たちが、大挙して来ます。改造した気球の
ようなものしか無いというのが緊迫感を出しています。
コンドリを操作して、この気球をバンバンつついて回るのが
このゲームの主目的。巣のある木に取り付かれるとハシゴがすえ
つけられ、人をよこして登らせようとするので、コンドリを操作
して、この人間をバンバンつついて回ります。場面転換も、敵の
衣替えもないシンプルさ。このわびしさ。
ちょっとおかしな弱肉強食ゲーということで、「コナミのプーヤン」
(アーケード版は82年)の戦友とも呼べるソフトですが、戦闘力
の上ではプーヤンが圧倒的に有利で、コンドリはどちらかといえ
ば悲壮感で勝負っぽい。「コンドリはとんでゆく。せつない‥」
そんな風に考えていました。しかし、実際には人間たちの作戦が
実にキンコンカンで、そのうえ空中でX座標静止できるコンドリ
の1ドットのブレもない攻撃特性も加わって永久にプレイできて
しまうことが分かり、その立場は逆転しました。「プーヤン」の、
いつかはやってくるデッドエンドを知ってか知らずか元気に撃ち
まくる姿は何ともけなげで、メロディオンのように古ぼけた音の
響きにのって展開される小劇場のハートフルな感覚には、キュンと
させられっぱなし。どうするコンドリ。
コンドリの発進時と、プレイヤーミス時は別として、このソフト
のサウンドは、蛍光管表示のLSIゲームやゲームウォッチのような
感触を出していて、これだけで印象が6割ほどUPしていると思われ
ます。「わざわざ、こんな音づくりはやらないだろう、普通は」という
感じ。本来ならば、「コンドリ」は10面あたりでクリアが難しくなっ
てくるゲームです。作り手自体がその先を想定していないような雰囲気
がありますので、もともとがこの世界の空気を味わうことを目的と
したものだと考えれば、ミョーな魅力が楽しめるのではないかと思います。
発売元のRAISONは、「BEE&FLOWER」というソフトも出している
のですが、テーマといい、画面のおおらかさといい、「コンドリ」に
近いものがあります。もしかすると「真紅ソフト」と「クロストーク」
には関連があるのかも知れませんね。
おすすめ度: ★★
パッケージのカタルシス(表→裏): ★★★★
攻略しないでおこう度: ★★★
斜陽の人類: ★★
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