『カー・ジャンボリー』という、なんとなく開放感のあるタイトル。『爆走スタントレ
ーシング』という、激しさのあるサブ・タイトル。あの『バトルクロス』の開発元で
ある、大森電気(OEC)が手がけているだけあって、エネルギッシュな一本に
なっています。そのエネルギーが滅法に発散されているせいで、やはり野ざら
し感が漂ってはいるのですが、車の闘技場という空間には、そんな空しさが、
わりと良く似合っています。
黄色いマイカーを振りまわし、ライバル車をクラッシュに追い込みます。池の中
に叩き落とし、側面からつっつき、とにかく相手にスキを見せないで、最後まで
生き残ればよいのです。ただし、勝利の余韻にひたる間も与えられず、闘技場
を出ることも許されずに、次の戦いがプレイヤーを待っている。
4種類しかステージがないし、バトルの相手も毎回いっしょの3台ポッキリ。もし
観客がいたのであれば、それはいつのことだったか、だれも覚えていない感じ。
かわいそうなのは、壁の向こうでスタンバイしている救急車。運転手は明らかに
眠りこけていた様子で、競技場内を不可解なルートで走り回ります。
お互いを知り尽くした4台のバトルは、まるで『ゼンジー』のような超越した力の
流れをさぐり合う精神的な側面があり、あるときは猛烈な敵同志のぶつかり合
いが起きてバカだなあと鼻で笑うこともあり、気晴らしにジャンプ台に乗ってみた
ら役に立たない上に危ないので逆に刺激的だったりと、奔放なプレイを心がける
のなら頑張って応えてくれるゲームソフトなのかな。
「継続して遊びたい」と思わせるような明確なモチベーションはないけれど、この
せせこましく、使命感に欠けた、小さなカー・ジャンボリーは、なごみますよ。
おすすめ度: ★★
爆走感: ★
なぜかフォーミュラーカーが混じっている: ★★★
西部警察度: ★★
集客力: ★★
絶対ひかれます: ★★(参照:『FROGGER』)
我らにジャンプ台を!: ★★(参照:『オーガ』)
ノミのサーカス度: ★★★
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