同タイトルの中では後発の移植作品だが、その他の多くの多機種版の移植タイトルのように、ゲームバランスが崩壊するような劣化がない点は非常に評価できる。
ご存知の通り、当時スタンダートマシンだったPC88をオリジナルとして開発されたMSX移植作品にはむごいものが多く、システム上ディスクアクセスを多様することの多い本格RPGはその最たるものだった。名作ウイザードリーもMSXへの移植は成功とは言い難い。
それに対してMSX版ラプラスは自社開発DOSを内臓することでこの問題を解決しており、グラフィックもオリジナルと遜色なく、この内容をDISK1枚に収めていることは驚愕に値する。当時1ドライブが多かったMSXではDISKの入れ替えは切実な問題だった。
MSX版で他機種に誇れるのは音楽が素晴らしいことだ。MSXのFM音源はPC88に比べて大幅に劣る代物であったが、ラプラスの神秘的な世界観を体言することに成功している。オープニングの恐ろしいながらも、呪われた館に足を踏み入れざるを得ない演出は一見の価値あり。個人的にはBGMのない98版よりよく出来ていると思う。もし機会があればMSX版のオープニングだけでも是非ご覧になって頂きたい。
|