当時圧倒的人気だった原作のゲーム化ということで、発売前から注目が集まった。MSXFANでも表紙を飾ったり、別冊付録攻略が組まれたりとMSX界全体でもプッシュされていた感がある。しかし別稿でも述べたように、当時のパソコンゲームの限界を超えた欲張りな設計のため、先行発売された9801版ですらゲームとして破綻していた。
それを8ビットマシンの中でも非力なMSXに移植しようと云うのだから、今から思えばお蔵入りにならなかっただけでもハミングバードソフトに拍手するべきなのだろう。
MSX版ロードス島戦記を語る上で絶対に避けて通れないのが、ディスクアクセスの頻繁さだ。戦闘でロード、町に入るとロード、迷宮に入るとロード、しまいには国境線を越えるとロードと、精神衛生上だけでなくディスクドライブにも悪いゲームシステムには辟易させられた。
私も発売日に予約して買ったクチだが、ゴミ箱にダンクシュートしようという誘惑に何度も駆られたものだ。昨年MSXユーザーのオフ会でこの話を振ったら、1時間以上飲み屋で盛り上がったので犠牲者は私だけではなかったようだ。
結局死ぬ思いでクリアーした後実機では二度とプレイしなかったが、一昨年エミュレーター上で10年以上ぶりに再プレイをして驚かされた。適切な難易度や作り込まれたシナリオ進行、新鋭かつ斬新なゲームシステムと完成された傑作がそこにあった。非力であった実機から解き放たれた本作が、本来の姿を取り戻した瞬間だった。MSX版開発者が夢見た”最高傑作”の完成系がそこに存在した。
もし実機でロード地獄を体験した方は、是非エミュレーター上での再プレイをお勧めする。ただ、3Dマップの広さなどは当時のパソゲーとしても広大なので、攻略サイトなどを参照したほうがいいかもしれない。
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