当時絶大な人気を誇ったファンタージー小説を原作にした、本格派RPG。もともとがD&Dという古典的テーブルトーク(対話型)RPGから派生しただけあり、MSXに限らず、すべての国産のコンピュータRPGと比べても異彩を放つほど特異なゲームシステムを持つ。ただしあまりにもテーブルトークRPGをコンピューター上で再現しようとした弊害のため、残念ながらコンピューターゲームという視点で見れば未完成的な作品として終ってしまった。
このゲームのシステムは、今プレイしても驚くほど欲張りだ。当時コンピューターRPGの二大横綱的存在であったウィザードリー(地下迷宮、アイテム収集、職種と種族やスキル制など)とウルティマ(戦術的戦闘システム、地上世界など)に加え、大関級のマイト&マジック(探索型シナリオ)の要素も追加し、さらに大国間の国勢や国境の概念なども組み込まれている。
これは当時ファンタジーRPGの第一人者であったグループSNEが、考え付く限りすべてのアイディアをこのゲームに投入したからだろうが、残念ながら当時のパソコンの性能では完成しいえない規模のものとなってしまった。
結論として当時のファンタジーバブルの頂点に君臨したのが、このロードス島戦記というゲームだろう。それはゲームとして完成することが初めから不可能であった不幸なゲームではあったが、未完の大傑作としての存在意義は大きかったのではないだろうか。
|