サンダーフォースシリーズなど、伝説的タイトルを多数リリースしていたテクノソフトの実験的作品の一つ。
現在で言うところの「リアルタイムストラテジーRTS」の始祖とも言えるゲームだが、そんなものが影も形もなかった時代だけに、歴史に埋もれてしまった不運なタイトルと言える。
厳密な意味ではRTSの元祖は、ブローダーバンド社の『アート・オブ・ウォー』と言われているが、何せ1984年の作品であるから、ゲームシステムや操作性としてはまだ未成熟な物だった。日本でも8801版が発売されているのでプレイしたことがあるが、ゲームシステムがマシンの性能に追いついていないという印象だった。
ヘルツォークは非力なMSXというマシンでもきちんとゲームとして完成されており、特に対戦では盛り上がること請け合い。サウンド面でもテクノソフトの2枚看板と言える新井直介, 大谷智巳の両氏が担当しており、聞きごたえがある。
小ネタ的には、まんまエリア88に登場したランドスラム地中を移動する核爆弾が登場する。このノリで地上空母も出して欲しかった。
翌年発売されたメガドライブ版の続編「ヘルツォーク ツヴァイ」はすべての面でパワーアップを果たし、ネット対戦との親和性により爆発的に普及することになった、RTSというジャンルの多くの作品に多大な影響を与えることととなった。
最もヒットしたエイジ・オブ・エンパイアの公式ガイドブックにも「ヘルツォークが元祖」と記述されている。
パソコンゲームの歴史を語るに外せない作品として、もっと多くの人に知ってもらいたいタイトルだ。
とまあ綺麗にレビューを〆ようと思ったのだが、ヘルツォークMSX版の真の魅力はこのような上っ面な部分ではない。この名作のフロッピーディスクには、80年代パソコンゲームの真の暗黒面が隠されていたのだ。その秘密は次回レビューにて・・・
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