当時ビジュアル面では定評のあったウルフチーム(日本テレネット)のRPG。同社は独創的なゲームを多数リリースしたが、あまりにも独創的過ぎてゲームとして破綻しているものが多かったが、そのなかでもアークスは比較的まとまった良作と言えるだろう。
K-2さんがレヴューしているように、経験値の概念をなくすなど多くの新機軸を投入した独特のゲームシステムではあったが、残念ながらこれらは決して成功したとは言えなかった。ゲーム内容も、広大な3Dダンジョンの中のイベント地点を捜索することの繰り返しでシナリオが展開していくに過ぎない。
しかしストーリーや世界観は当時日本の多くのファンジーRPG作品が外国の著名なRPGや小説の強い影響下にあった中で、比較的オリジナルな世界観でありながら重厚かつ幻想的な世界観と、飽きさせない展開のシナリオを構築したことは大いに評価できる。
仲間が集うまでを前半丸々使い後半急激に展開させるシナリオも秀逸で、違和感なく続編に繋げることができた。
ゲーム全体の完成度としてはやはり実験的な部分がぬぐえないものの、緩急をつけたシナリオと美しい演出で「魅せる」ゲーム展開を作品全体として押し出した点は素晴らしいだろう。
余談になるがウルフチームはその後、名作テイルズオブファンタジアを経てトライエースとして独立。2008年現在でもシリーズ化されている、スターオーシャンなどをリリースしている。同社の切れの良いシナリオの原点が本作にあると考えるのも一興か。
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