不毛なる徹底レビュー:スーパードアーズ
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最近のハドソンというと、「桃鉄」や「ボンバーマン」などの定番モノがぱっと思いつくが、もちろん昔から思考錯誤のゲーム作りをしていたことに疑いはない。この「スーパードアーズ」はそんな時代のアイデア勝負のゲームである。
まずゲームを立ち上げると、デモ画面で簡単なゲームの説明がテキスト付きで始まる。今となっては当たり前のこの機能だが、15年も前のテープのゲームですでに採り入れられていたのだ。開発者の先見の明がうかがえる。なるほど、エル字型の「ドア」を押してわくを作り、その中にエイリアンを閉じ込めちゃえばいいんだな、と。非常に明解なゲームシステムである。デモ画面でも、主人公の「DOORMAN」がバッタバッタと敵を閉じ込め窒息させてゆく。見ているだけでも気持ちいい。
さて、ゲームを始めてみる。難しい。何が難しいかというと、ドアを動かすタイミングである。「ドアを押せば動く」ことは理解できても、エイリアンの動きにあわせて閉めることが直観でわからないのだ。エイリアンをうまく誘い出しても閉じ込めるにはかなりのテクニックが必要である。
その上、エイリアンの動作は速い。ドアを動かすタイミングばかり見計らっていると、あっという間にエイリアンに押し潰され、哀れ「DOORMAN」はぺしゃんこになってしまう。エイリアンを閉じ込めるためには、近付いてきた時にドアを動かさなくてはならない。しかし、焦りは禁物。ドアの角が固定されているので、とっさにドアを動かそうとすると、その角に引っかかりドアが動かず、エイリアンの餌食になってしまうだろう。
少し慣れてくるとわかる通り、画面の中心でエイリアンを閉じ込めるよりも、画面隅の一つ、または二つのドアを使って閉じ込めた方が効率的にことを運ぶことができるだろう。また、エイリアンはランダムに動いているようで、実は少しずつ自分に近付いてくる。この性質がわかればうまくエイリアンを誘導して閉じ込めることができるだろう。
ここで気を付けないといけないのは、「エイリアンも窒息するんだから自分も窒息する」ということである。よほど注意深く行動しないと、ちょっとした操作ミス、思い違いにより、エイリアンが味わう恐怖を自ら味わうこととなる。特に画面中央でわくを作ろうとして、あと一つ動かせばわくが完成!というときに誤って逆にドアを押してしまうと、エイリアンもろとも自分もその中に閉じ込められ、エイリアンと一緒にあの世へGO!何が悲しゅうてエイリアンと心中やねん、といった事態に見舞われるだろう。
面をクリアしていくごとに、エイリアンは増殖してゆく。おそるべき繁殖力。エイリアンの種類も徐々に増え、体の色が上下で違う不気味なヤツも出現し、DOORMANの恐怖もいつしか頂点に達することであろう。
気が付いた方もいると思うが、このゲームのスコア表示などは縦書きである。コンピュータの世界では普通に文字を表示しようと思えば横書きになる。そこをあえて縦書きにしている。
もちろんこのゲームはゲーム内容も十分に楽しめるものである。少々難しいのは確かであるが。いろんなアイデアと技術が楽しいゲームを生み出していることの典型例だろう。さらにこのゲームは「雨の日は多忙し」というゲームと一つのパッケージで販売されていた。あらゆる意味で当時のハドソンのパソコンゲームに対する情熱を感じる作品といえるだろう。 SOFTWARE DATA |
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